社会人から公務員への転職を目指す際、最も重要になるのが「スケジュールの把握」と「試験種別の理解」です。
民間企業の転職活動とは異なり、公務員試験は年間の実施時期が決まっており、手続きや対策期間も長期にわたります。働きながら合格を勝ち取るためには、全体の流れを俯瞰し、逆算して計画を立てる戦略が必要です。
本記事では、初心者の方向けに、公務員試験の基本的な流れ、主要な日程、そして社会人が合格するための標準的な学習スケジュールについて解説します。
この記事を書いた人

公務員のライト専任講師
よこみぞ先生(横溝涼)
公務員試験の基本的な流れ

公務員試験は、申し込みから採用内定まで半年近くかかる長丁場の試験です。自治体や職種によって細部は異なりますが、一般的なプロセスは以下の5ステップで進行します。
ステップ1:受験案内の配布・申し込み
試験日の2〜3ヶ月前に「受験案内(募集要項)」が公表されます。近年はインターネット申し込みが主流です。社会人採用枠(経験者採用)の場合、申し込み段階で「職務経歴書」や「エントリーシート」の提出を求められるケースが増えています。期限厳守は公務員実務の基本であるため、初歩的なミスでの失格は避ける必要があります。
ステップ2:第1次試験(筆記試験)
主に「教養試験(基礎能力試験)」と「専門試験」、そして「論文試験」が実施されます。
社会人経験者枠では、負担の重い専門試験を課さず、基礎的な学力を測る教養試験やSPI3、SCOAなどの適性検査のみで実施する自治体も多く存在します。
ステップ3:第1次試験合格発表
筆記試験から約2週間〜1ヶ月後に結果が発表されます。合格者のみが次のステップへ進みます。
ステップ4:第2次試験(人物試験・面接)
公務員への転職において最大の山場となるのがこの段階です。 個別面接、集団討論、プレゼンテーションなど形式は多様です。近年の傾向として、人物重視の採用が進んでおり、面接が複数回(2回〜3回)行われることも増えてきました。筆記試験の点数がリセットされ、面接の評価のみで合否が決まる「リセット方式」を採用する自治体も多く見られます。
ステップ5:最終合格・採用内定
最終合格発表後、採用候補者名簿に登載され、正式な内定(採用)通知が届きます。また、受験先によっては、別途採用面接などが課される場合もあります。原則として翌年の4月1日から勤務開始となりますが、既卒・社会人の場合は欠員状況に応じて年度途中(10月や1月など)から採用されるケースもあります。
公務員試験の主な日程・種類

公務員試験の日程は、大きく「春試験」と「秋試験」の2つのシーズンに分類されます。自身の年齢や志望先がどの枠組みに該当するかを確認することが先決です。
春試験(4月〜6月実施)
主に「大卒程度試験(一般枠)」が実施される時期です。年齢要件(多くの自治体で29歳〜30歳上限)を満たしていれば、社会人であってもこの「一般枠」で受験することが可能です。採用数が多く、選択肢が広いのが特徴です。
- 4月下旬〜: 東京都庁、特別区(東京23区)など
- 5月下旬〜: 国家専門職・国家一般職など
- 6月中旬〜: 地方上級(道府県庁・政令指定都市)
6月中下旬の試験は「A日程」とも呼ばれ、日程が重なるため併願には戦略的な選択が必要です。
秋試験(9月実施)
市役所や町村役場、そして多くの「社会人経験者採用(民間企業等職務経験者枠)」が実施される時期です。
- 9月下旬: 市役所(B日程・C日程)、社会人経験者採用の統一試験日
特に社会人経験者採用枠は、年齢上限が高く設定されている(59歳まで等)場合や、特別な試験対策を必要としない教養のみの試験区分が多いため、30代以降の働きながら転職を目指す層にとっての主戦場となります。
通年実施・独自日程
近年、民間企業と同様にテストセンター方式(SPI等)を活用し、受験者が都合の良い日時に受験できる方式を導入する自治体が急増しています。

同くじ日程は、春・秋の定例日程とは別に実施されるため、常に各自治体の採用ページをチェックする情報収集能力が求められます。
社会人のための合格スケジュールモデル

働きながら学習時間を確保することは容易ではありません。合格には一般的に300時間から1000時間程度の学習が必要とされますが、社会人採用枠か一般枠かによって対策期間は異なります。
ここでは、最も標準的な「1年計画」でのスケジュール例を提示します。
学習開始期(試験1年前〜半年前)
【基礎固め・情報収集】
まずは志望先の過去問を確認し、敵を知ることから始めます。 学習の中心は「数的処理(判断推理・数的推理)」です。この科目は習得に時間がかかりますが、出題比率が高く、合否を分ける重要科目です。毎日少しずつ問題を解き、解法パターンを定着させます。
直前期(試験半年前〜3ヶ月前)
【知識科目・数的対策】
人文科学や社会科学などの暗記科目に着手します。範囲が膨大であるため、頻出分野に絞って効率的に学習を進める「捨て問(学習しない範囲を決める)」の判断も重要です。 並行して、数的科目も演習を集中的にやっていきます。
超直前期(試験3ヶ月前〜本番)
【過去問演習・論文・面接対策】
志望先の過去問を時間を計って解き、時間配分の感覚を養います。 さらに、この時期から論文対策を開始します。頻出テーマ(防災、少子高齢化、DX推進など)について情報を収集し、実際に書いて添削を受けるサイクルを回します。また、面接に向けた自己分析や自治体研究も進めていきたいところです。

必要な科目や学習方法などによっては、半年でも合格されている方は数多くいらっしゃいます。
働きながら合格するための戦略

社会人が公務員試験を突破するために必要な要素は、根性論ではなく「効率」です。
スキマ時間の最大活用
通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を学習に充てます。単語帳やスマホアプリを活用し、5分あれば1問解く習慣を身につけます。まとまった勉強時間は週末に確保し、平日はインプットや復習に徹するといったメリハリが重要です。
試験区分の適切な選択
専門試験(法律や経済など)が課される区分は、学習負担が非常に大きくなります。現在の仕事が多忙である場合、教養試験のみで受験できる「教養区分」や、SPI試験で受験できる自治体にターゲットを絞ることも立派な戦略です。
予備校や模試の活用
独学での合格も不可能ではありませんが、情報の取捨選択や面接対策において予備校の利用は時間短縮につながります。特に面接対策は第三者の視点が不可欠であるため、単科講座や模擬面接だけでもプロの指導を受けることが、最終合格への近道となります。
公務員試験は正しい情報に基づき、適切な時期に適切な対策を行えば、働きながらでも十分に合格が可能です。

自身の年齢と職歴で受験可能な自治体をリストアップし、試験日から逆算して今日やるべきことを明確にすることから始めてください。
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試験は第三次試験以降も続く受験先はありますので、要項を確実に確認してください。