こんにちは。公務員のライト専任講師のましゅーです。
2026年8月7日に、人事院が国家公務員の給与と休暇について勧告を行いました。
そこでこの記事では、待遇改善の3つのポイントと、これから受験する方への影響まで、公表資料に基づいて解説していきます。
この記事を書いた人

公務員のライト専任講師
ましゅー先生(望月真修)
2026年に決まった国家公務員の待遇改善
※ 2026年8月7日に人事院が国会と内閣に対して行った勧告の内容です。
今回の勧告では、休暇・手当・給与という3つの分野が同時に見直されました。いずれも、これから国家公務員を目指す方にとって働きやすさと収入の両面で追い風になる内容です。

このほかの主な見直し
- 任期が相当長期にわたる非常勤職員について、扶養手当・住居手当に相当する給与の支給に努めることが明記されました
- フレックスタイム制が柔軟になります(1日の最短勤務時間を見直し、各府省の判断でコアタイムをなくすことも可能になります。2027年4月実施)
- 代休日の指定などを、1日に満たない単位でもできるように見直されます(2027年4月実施)
- 遺族補償年金の受給資格要件にあった男女差が撤廃されます(2027年4月実施)
働き方や手当の細かな部分でも、複数の見直しが同時に進められています。ここから、3つの柱を1つずつ詳しく見ていきます。
年7日の「無給休暇」の新設
※ 2026年8月7日の人事院勧告の内容です。
すべての職員を対象に、取得する理由を問われない「無給休暇」(給与が支払われない代わりに、事情を説明せずに取れる休暇です)が新設されます。日数は1年に7日で、日単位でも時間単位でも使えます。

制度の内容
この無給休暇は、既存の休暇の日数を超えて休む必要がある場合のセーフティネットという位置づけです。各省庁の長は、公務の運営に支障がある場合などを除いて、原則として承認しなければならないとされています。
取得できる場面
※ 「小1の壁」とは、子どもの小学校入学前後に働き方の調整が必要になることを指します。
人事院は、上の表のような場面での活用を例として挙げています。急な予定変更にも短い時間から対応できるのが特徴です。
年次有給休暇との違い
※ 無給休暇は、勤務1時間当たりの給与額をもとに、取得した時間分が減額されます。
年次有給休暇は取っても給与が減りませんが、無給休暇は取得した時間分の給与が減ります。その代わり、理由を説明せずに休める点が大きな違いです。

「転居に関する手当」の新設
※ 2026年8月7日の人事院勧告の内容です。
引っ越しを伴う異動をした職員を広く対象にする「転居に関する手当」が新設されます。支給されるのは異動から3年間です。

支給の対象と期間
異動前の住居から60km以上離れた官署へ移り、実際に引っ越して、異動前後の住居の間が60km以上ある職員などが対象です。支給されるのは異動から3年間で、単身赴任でやむを得ない事情がある場合は延長されることもあります。
距離別の支給額
※ いずれも月額です。※ 「単身赴任手当の基礎額が支給される者」とは、単身赴任手当(一律月額3万円)の対象になる職員のことです。この3万円は今回も変わらず、転居に関する手当とは別に支給されます。
距離が遠いほど手当は高くなり、最も遠い区分では月額105,000円が支給されます。単身赴任の方には、この手当とは別に、これまでどおり月3万円の単身赴任手当も支払われます。
広域異動手当の引上げ
※ 広域異動手当は、遠方への異動をした職員の給与に一定の割合を上乗せする手当です。
広域異動手当(遠方への異動をした職員の給与に一定割合を上乗せする手当です)も引き上げられます。この引上げは2026年4月にさかのぼって実施され、転居に関する手当(2027年4月から)より先に始まります。
なお、転勤に関する手当を再編・統合した「総合的な手当」の検討も進められており、2027年の夏に報告される予定です。

5年連続となる給与とボーナスの引上げ
※ 俸給とボーナスは2026年4月にさかのぼって適用されます。※ 「行政職俸給表(一)」は、一般的な事務の仕事に適用される給与の表です。
民間との差を埋めるため、月給は平均3.3%、ボーナスは年4.70月へ引き上げられます。給与とボーナスの引上げが勧告されたのは、2022年度から5年連続です。

級別に見た改定率
※ 1級は採用直後の職員が多い級です。若手ほど改定率が高い配分になっています。
改定率は級によって差があり、採用直後の若手が多い1級がいちばん高くなっています。あわせて、ボーナスの引上げ分0.05月は、期末手当と勤勉手当に0.025月ずつ均等に配分されます。
初任給の変化
※ 初任給は一律で9,500円引き上げられます。※ 改定前の額は、引上げ額9,500円から算出しています。
初任給は一律で9,500円引き上げられ、一般職試験(大卒程度)は241,500円になります。学歴や試験区分を問わず、初任給の底上げが図られています。
5年間の引上げの推移
※ 人事院「給与勧告の実施状況(行政職俸給表(一))」より。※ %は民間との給与差(官民較差)の割合です。
民間との給与差は2022年度の0.23%から年々広がり、それに合わせて給与とボーナスの引上げが5年続いています。定期昇給分を加えてモデル試算すると、月収では約4.9%の改善になると人事院は示しています。
人事院勧告の仕組み
人事院(国家公務員の給与や採用試験を担当する国の機関です)は、民間企業の給与を毎年調べています。国家公務員の給与は民間の給与に合わせて決まる仕組みで、人事院が調査の結果をもとに、国会と内閣へ改定を勧告します。

官民較差の考え方
※ 民間・国家公務員とも2026年4月分の給与(月例給)を比べたものです。※ 国家公務員の金額は、行政職俸給表(一)の職員139,564人・平均年齢41.7歳の平均額です。
官民較差とは、民間と国家公務員の給与の差のことです。2026年はこの差が15,056円(3.51%)あり、これを埋める形で改定の内容が決まりました。
なお、ここでの金額は初任給や年収ではなく、平均年齢41.7歳の職員の平均的な月給です。
待遇改善が進む背景
2026年7月28日には、内閣人事局が国家公務員の人材改革プランを公表しました。今回の待遇改善は、人材を確保するための取り組みの一つと言えます。

人材の確保が課題になっている理由
働く世代である15歳から64歳の人口は、2040年までにピーク時の約7割まで減ると見込まれています。国も民間企業と同じように、人を集める工夫が必要になっています。
若手職員の退職者数の増加
※ 総合職試験で採用された職員のうち、採用から10年未満で退職した人数です。
総合職試験で採用された職員のうち、採用から10年に満たないうちに辞める方は、2014年度の66人から2023年度には203人へと約3倍に増えました。人材確保の取り組みが強化されているのは、こうした事情も背景にあります。
職場のイメージと働きがいの課題
内閣人事局の資料では、国家公務員を志望することにつながらない理由として、次の点が挙げられています。
- 試験の負担が大きいこと
- 業務に魅力を感じないこと
- ブラックというイメージがあること
また、働きがいの実感度を年代別に見ると、30歳代が相対的に低くなっています。今回の改善は、こうした課題に向き合ったものです。

これから受験する方への影響
※ 一般職試験(大卒程度)の申込者数は2015年度の35,640人から長期的には減少しており、2026年度は前年度を上回りました。※ 総合職試験の合計は、前年秋の教養区分と当年春の試験を合わせた人数です。
国家公務員の採用試験の申込者数は、長期的には減っていますが、2026年度は増加に転じています。待遇の改善が知られるほど、志望する方はさらに増えると考えられます。

採用試験の実質倍率
※ 2026年度の国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)の数値です。※ 実質倍率=一次倍率(一次受験者÷一次合格者)×二次倍率(二次受験者÷最終合格者)で算出しています。※ 人事院は申込倍率3.1倍・受験倍率2.3倍と公表しており、算出の方法が異なります。
2026年度の一般職試験(大卒程度)で、受験から最終合格までを通した実質倍率は1.94倍でした。待遇がどれだけ良くなっても、試験に合格しなければ国家公務員にはなれません。

合格までの対策の進め方
国家公務員試験は、筆記試験に加えて論文と面接まで対策の範囲が広く、独学ではそのすべてを一人で仕上げることになります。何をどの順番で進めるかを決めるだけでも、時間がかかります。

まとめ
- 年7日の「無給休暇」が新設され、時間単位でも取得でき、原則として承認されます(2027年4月1日から)
- 転居を伴う異動をした職員に「転居に関する手当」が最長3年間支給されます。距離に応じて月額6,000円から105,000円までです(2027年4月から)
- 月給は平均3.3%、ボーナスは年4.70月へ引き上げられ、一般職(大卒程度)の初任給は241,500円になります。2022年度から5年連続の引上げ勧告です
- 採用試験の申込者数は長期的には減っていますが、2026年度は増加に転じています
- 2026年度の一般職試験(大卒程度)の実質倍率は1.94倍で、対策は早く始めるほど有利です
国家公務員の待遇は、休暇・手当・給与の3つの面で改善が進んでいます。給料が安い、激務でつらいというイメージだけで選択肢から外してしまうのは、もったいない状況です。

無料受講相談
国家公務員を目指すかどうか迷っている段階でも、無料の受講相談を利用できます。試験の選び方や学習の始め方を、一人ひとりの状況に合わせてお伝えします。



どんな些細なことでも構いませんので、公務員試験や講座のことで、気になることがあれば、お気軽にご相談ください!
※ 出典:人事院「2026年(令和8年)人事院勧告」「給与勧告のポイント」「勤務時間・休暇等に関する勧告のポイント」「給与勧告の実施状況(行政職俸給表(一))」「2026年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)合格者発表」「2026年度国家公務員採用総合職試験(春)合格者発表」「人事行政諮問会議 最終提言 概要」/内閣人事局「人口減少社会×AI時代の行政を支える人材改革プラン」/公務員のライト調べ








