こんにちは。公務員のライト専任講師のあらやんです。
受験生から「地方上級の政治学はどこから手をつければよいのか」という問い合わせが多くあります。
そこでこの記事では、過去12年分の出題内容をもとに、地方上級の政治学の頻出テーマと対策の優先順位まで徹底解説していきます。
この記事を書いた人

公務員のライト専任講師
あらやん先生(荒山龍史)
地方上級の政治学の出題数
地方上級は、都道府県・政令指定都市の大学卒業程度の職員採用試験です。専門試験には全国型・関東型・中部・北陸型などの型があり、この記事では基本の形の全国型で見ていきます。
全国型の専門試験では全部で40題が出題され、そのうち政治学は2題(No.1・No.2)です。
40題すべてを2時間で解くのが基本の形で、国家一般職や特別区のように科目を選ぶことはできません。政治学の2題も、必ず解く問題です。
地方上級は試験問題が公表されていないため、この記事では、受験者の情報をもとに作られた出題内訳で数えています。
先に結論を言うと、政党・マス・メディアの政治過程論と、女性と政治などの現代の政治から手をつけるのが近道です。
- 地方上級の政治学の特徴と問われ方(例題つき)
- 過去12年の出題分析(頻出テーマのランキング)
- 勉強方法・対策の優先順位とおすすめ教材

地方上級の政治学の特徴・問われ方
地方上級の政治学は、5つの選択肢から妥当なものを1つ選ぶ問題が中心です。12年のうち3問は、文の中の空欄に語句を入れる空欄補充の形でした。
学者と学説の組み合わせに加えて、女性議員の割合や候補者男女均等法のような、いまの日本の政治の動きも出題されています。女性と政治は、3回(2021年度・2024年度・2026年度)出ています。

地方上級の政治学の例題
地方上級は試験問題が公表されていないため、よく出るテーマに合わせて公務員のライトが作った問題で、問われ方を確かめてみましょう。選択肢の3〜5と正答・解説は、折りたたみを開くと見られます。
- G.サルトーリは、ヘゲモニー政党制を、複数の政党が対等な立場で政権を争い、選挙のたびに政権交代が起こる政党制であるとした。
- M.デュヴェルジェは、比例代表制は二大政党制をもたらし、小選挙区制は多党制をもたらしやすいと主張した。
▼ 選択肢3〜5と正答・解説を見る(タップで開きます)
- サルトーリのいう穏健な多党制とは、イデオロギーの距離が大きい多くの政党が並び、体制そのものに反対する政党が力を持つ政党制のことである。
- サルトーリは、政党の数とイデオロギーの距離に注目して政党制を分類した。一党優位政党制では、複数の政党が自由に競争しているにもかかわらず、特定の政党が長い期間にわたって政権を担い続ける。
- 二大政党制の典型例は我が国の55年体制であり、自由民主党と日本社会党が選挙のたびに交互に政権を担当した。
▼ ほかの例題を見る(女性と政治・マス・メディア)(タップで開きます)
- 候補者男女均等法は、衆議院議員総選挙の候補者の一定の割合を女性とすることを各政党に義務づけ、違反した政党には罰則が科される。
- 2018年に制定された政治分野における男女共同参画の推進に関する法律(候補者男女均等法)は、選挙の候補者の数ができる限り男女均等になることを目指し、政党などに自主的な取組を求めている。
- 2021年の候補者男女均等法の改正では、議員や候補者へのセクシュアルハラスメントやマタニティハラスメントへの対策が、国や地方公共団体の取組の対象から外された。
- 我が国で女性が初めて国政選挙で投票し、女性の衆議院議員が誕生したのは、大日本帝国憲法が制定された直後の1890年の総選挙である。
- 我が国の衆議院議員に占める女性の割合は2020年代に入って5割を超え、国際的にみても高い水準にある。
- E.ノエル=ノイマンのいう「沈黙の螺旋」とは、自分が少数派だと感じた人ほど、積極的に意見を表明するようになる現象をいう。
- M.マコームズとD.ショーのいう「議題設定機能」とは、マス・メディアが人々の意見の賛否を直接決めてしまう働きのことである。
- G.ガーブナーの「培養理論」によれば、テレビを長い時間見る人ほど、現実の社会を実際よりも安全だと考える傾向がある。
- P.ラザースフェルドらの研究は、マス・メディアが人々の投票行動を直接大きく変える「弾丸効果」を実証したとされる。
- W.リップマンは、人々は現実の環境そのものではなく、マス・メディアなどがつくる「疑似環境」をもとに考えたり行動したりしていると指摘した。

地方上級の政治学の出題分析【過去12年】
この記事では、政治学の出題を22の分野に分け、それを8つのテーマにまとめて数えています。
12年間の24問を8つのテーマで数えると、1位は「政治過程論」の9問で、全体の37.5%を占めます。2位は「政治的イデオロギー」と「現代政治の諸問題・その他」の4問ずつです。
上位3つで17問と、全体の約7割になります。一方で、政治行動論と日本政治史は、12年で1問も出ていません。
政治過程論
政治過程論(12年で9問)の出題ポイントは、次の3つです。
- 選挙・政党・圧力団体・マス・メディアを扱うテーマです
- 分野では政党が5問で最も多く、マス・メディアが3問、選挙制度が1問です
- 政党では、サルトーリの政党制の分類(2021年度)や政党の発展段階(2016年度)が出ています
政党の問題は、政党の類型(名望家政党・大衆政党など)と政党制の分類(サルトーリ)を分けて覚えます。2014年度には、連立政権をつくる考え方(ライカーの最小勝利連合)も出ています。
マス・メディアでは、沈黙の螺旋やプライミング効果などの効果論が2016年度と2024年度に、記者クラブや放送法など日本のメディアの仕組みが2018年度に出ています。
現代政治の諸問題・その他
現代政治の諸問題・その他(12年で4問)の出題ポイントは、次の3つです。
- いまの日本の政治の課題を扱うテーマです
- 女性と政治が3回(2021年度・2024年度・2026年度)出ています
- 2022年度は、マイノリティに対する施策(障害者差別解消法・ヘイトスピーチ解消法)がテーマでした
女性と政治は、女性議員の割合、候補者男女均等法とその改正(ハラスメント対策)を押さえます。法律の名前と、何を定めているかをセットで覚えましょう。
政治的イデオロギー
政治的イデオロギー(12年で4問)の出題ポイントは、次の3つです。
- 民主主義や政治体制の考え方を扱うテーマです
- 分野では民主主義が3問(2017年度・2022年度・2026年度)です
- ダールのポリアーキー、シュンペーター、トクヴィル、ミルなど、民主主義をめぐる学者が問われています
ポリアーキーとは、選挙に参加できる人の広さ(包括性)と、政府を批判して競い合える自由(自由化)がどちらも高い体制のことです。
2020年度には、ナショナリズムを論じたベネディクト・アンダーソンの思想も出ています。

地方上級の政治学の年度別の出題数
直近の6回(2025年度を除く2020年度〜2026年度)では、政治過程論と現代政治の諸問題・その他が4回ずつ出ています。
2問しか出ないため、同じテーマが2年続けて出ないこともよくあります。直近の年度に出たテーマも外さずに、上位のテーマを一通り準備しておきましょう。
地方上級の政治学の分野別の出題数
| テーマ | 分野 | 12年合計 | 2026 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 政治学の基礎概念 | 政治権力・リーダーシップ | 2 | - | - | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | 1 |
| 国家論 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| 政治制度論 | 議院内閣制 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 大統領制 | 1 | - | - | - | - | - | - | - | - | 1 | - | - | - | |
| その他の政治制度 | 2 | - | - | - | - | - | - | - | 1 | - | - | 1 | - | |
| 政治過程論 | 選挙制度 | 1 | - | - | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - |
| 政党 | 5 | - | - | 1 | - | 1 | 1 | - | - | - | 1 | - | 1 | |
| 圧力団体(利益集団) | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| マス・メディア | 3 | - | 1 | - | - | - | - | - | 1 | - | 1 | - | - | |
| 政治行動論 | 投票行動 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 政治意識 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| 政治文化 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| 政治的イデオロギー | 自由主義 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 民主主義 | 3 | 1 | - | - | 1 | - | - | - | - | 1 | - | - | - | |
| その他のイデオロギー・政治体制 | 1 | - | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | |
| 政治思想 | 古代・中世の政治思想 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 近代の政治思想 | 2 | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | - | 1 | - | |
| 現代の政治思想 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| 日本の政治思想 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| 日本政治史 | 日本政治史 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 現代政治の諸問題・その他 | 現代政治の諸問題 | 4 | 1 | 1 | - | 1 | 1 | - | - | - | - | - | - | - |
| その他 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
22分野のうち10分野から出題があり、最も多いのは政党の5問、次が現代政治の諸問題の4問です。
表は横にスクロールすると、2014年度までさかのぼって見られます。
地方上級の政治学の勉強方法・対策の優先順位
24問中13問を占める2つのテーマから、まず政治過程論と現代の政治を仕上げるのが効率的です。
続けて政治的イデオロギー(民主主義)まで仕上げると、24問中17問をカバーできます。
- ステップ1 政党・マス・メディア・民主主義から、学者の名前と学説を組み合わせて覚えます
- ステップ2 女性議員の割合・候補者男女均等法など、いまの日本の政治の動きを押さえます
- ステップ3 地方上級レベルの過去問を解き、空欄補充も含めた問われ方に慣れます

地方上級の政治学のおすすめ教材
最後に、政治学の対策に使える公務員のライトの教材を2つ紹介します。

公務員のライトの政治学講座

2週間で完成!速習「政治学」講座の特徴
政治学を2週間で完成させることを目指した速習講座です。全14回+ガイダンス1回で、国家・政治体制、各国の政治制度、日本の政治制度・議会、マス・メディア、イデオロギー、投票行動・政治参加、西洋/日本の政治思想、日本の政治史までを一気に押さえます。
「直前期に短期間で仕上げたい」「範囲が広くて手が回らない」という方に最適な講座です。
公務員のライトの政治学の単科講座では、頻出の学者と学説を整理しながら、過去問の解き方まで一気に仕上げられます。
過去問アプリ
公務員のライトのアプリでは、専門試験の厳選過去問を解説付きで解けます。無料で使えるので、スキマ時間に問われ方に慣れるのに向いています。
▶ App Storeでダウンロード ▶ Google Playでダウンロード
まとめ
- 地方上級(全国型)の政治学は、専門試験40題のうち毎年2題(No.1・No.2)で、全問を解く形式です
- 2014年度〜2026年度の24問(2025年度を除く)では、政治過程論が9問で最も多く、政党が5問です
- 学説の問題に加えて、女性と政治など現代の政治の問題が出ます(3回)
- 対策は政治過程論と現代の政治から始め、学者と学説→現代の政治の動き→過去問の順で仕上げます
政治学は2問ですが、全問を解く地方上級では落とせない科目です。出題数の多いテーマから順に、着実に積み上げていきましょう。


2週間で完成!速習「政治学」講座の特徴
政治学を2週間で完成させることを目指した速習講座です。全14回+ガイダンス1回で、国家・政治体制、各国の政治制度、日本の政治制度・議会、マス・メディア、イデオロギー、投票行動・政治参加、西洋/日本の政治思想、日本の政治史までを一気に押さえます。
「直前期に短期間で仕上げたい」「範囲が広くて手が回らない」という方に最適な講座です。
※ 画像「地方上級の政治学の出題数」は、2026年度の全国型の専門試験の出題内訳の科目と問題の並びによります。試験の型や科目の数は自治体によって異なります。
※ 画像「地方上級の頻出テーマ」「地方上級の年度別の出題数」と分野別の表は、実務教育出版『地方上級〈専門〉過去問500』の出題内訳(2014年度〜2024年度)と、市販の書籍の2026年度の出題内訳(どちらも受験者の情報をもとに作られたもの)の政治学の出題内容を、公務員のライトの22分野・8テーマで数えたものです(2014年度〜2026年度)。2025年度は出題内訳を確認できていないため含めていません。
※ 出題内訳は受験者の記憶をもとにしたもので、問題番号や内容が実際と異なる場合があります。問題の本文が公表されていないため、出題内容のテーマと語句から分野を決めています。
※ 例題は、地方上級の試験問題が公表されていないため、出題テーマをもとに公務員のライトが作った問題(ライトオリジナル)です。
※ 出典:実務教育出版『地方上級〈専門〉過去問500』の出題内訳(2014年度〜2024年度)と、市販の書籍の2026年度の出題内訳(どちらも受験者の情報をもとに作られたもの)/分野の分類は公務員のライトの独自基準














