こんにちは。公務員のライト専任講師のあらやんです。
受験生から「国家一般職の政治学はどこから手をつければよいのか」という問い合わせが多くあります。
そこでこの記事では、過去13年分の本試験データをもとに、国家一般職の政治学の頻出テーマと対策の優先順位まで徹底解説していきます。
この記事を書いた人

公務員のライト専任講師
あらやん先生(荒山龍史)
国家一般職の政治学の出題数
国家一般職(行政区分)の専門試験では全部で80題が出題され、そのうち政治学は5題(No.1〜No.5)です。
専門試験は16科目(各5題)から8科目を選んで計40題を解く形式で、解答時間は3時間です。政治学を選ぶと、解答する40題のうち5題が政治学になります。
この記事では、この政治学の5題を見ていきます。先に結論を言うと、出題数の多い政治過程論と政治制度論から手をつけるのが近道です。
- 政治学の特徴と問われ方(例題つき)
- 過去13年の出題分析(頻出テーマのランキング)
- 勉強方法・対策の優先順位とおすすめ教材

国家一般職の政治学の特徴・問われ方
国家一般職の政治学は、5つの選択肢から最も妥当なものを1つ選ぶ問題が中心です。選択肢ごとに、学者の名前と学説、国の名前と制度の組み合わせが入れ替えられています。
また、5問とも別々の分野から出る年がほとんどです。13年のうち11年は、5問すべてが違う分野でした。

国家一般職の政治学の例題
実際の過去問で、問われ方を確かめてみましょう。選択肢の3〜5と正答・解説は、折りたたみを開くと見られます。
- 自由民権運動の発展の過程において、民間でも盛んに私擬憲法が作成される中で、植木枝盛は「五日市憲法草案」を起草した。「五日市憲法草案」は、当時の廃仏毀釈運動を背景に信教の自由を否定するなど、他の私擬憲法に比して保守的な内容であった。
- 第二次護憲運動に参加し指導者として活躍した中江兆民は、J.ロックの『統治二論』の一部を漢訳した『民約訳解』を発表し、国家は、各人の意思ではなく公共の利益である「一般意思」により運営されなければならないとする人民主権論を紹介した。
▼ 選択肢3〜5と正答・解説を見る(タップで開きます)
- 吉野作造は、人民が主権を有するという民主主義と区別し、天皇主権を規定する大日本帝国憲法の枠内で可能な民主主義を採用していくことを目指す、民本主義を提唱した。この思想は、大正デモクラシーの重要な理念となった。
- 平塚らいてうは、雑誌『水平』において「元始、女性は太陽であった」と述べて、女性の人間としての解放を宣言した。また、市川房枝らとともに全国水平社を結成し、婦人参政権の要求などの女性解放運動を進めた。
- 内村鑑三は、無教会派のキリスト教徒の立場から、個人が国家権力より優越すべきだとして反戦論を展開した。しかし、日清戦争が開戦すると国家主義に立場を転じ、神の国を建設することの必要性から、海外への膨張論を唱えるようになった。
▼ ほかの例題を見る(2024年度の2問)(タップで開きます)
- N.ポルスビーは、各国の議会を「変換型議会」「アリーナ型議会」という類型を用いて分類した。変換型議会は、社会の様々な要求を法律という形にする機能を果たし、アリーナ型議会は、与野党が次の選挙を意識しつつ、争点を明確にして政策を競う場として機能するとされる。
- ドイツ議会は二院制を採っており、全ての法案について、その成立のためには連邦参議院と連邦議会の両者の同意が必要となる。連邦参議院の議員は、州代表、学識経験者、職能代表によって構成される一方、連邦議会の議員は、小選挙区比例代表並立制の選挙により国民が直接選出している。
- J.ブロンデルは、議会の能力を測る基準として、議員立法がどれだけ活発に行われているかに着目し、その能力を「粘着性」(ヴィスコシティ)と呼んだ。M.モチヅキによると、日本では、議員立法が少なく、多くの内閣提出法案が無修正で成立することから、国会の粘着性はほとんどないとみなせる。
- 二読会制を採る英国議会では、法案審議は、第一読会、第二読会、本会議採決という順に行われる。第一読会は形式的なもので、実質的な審議が行われる第二読会では、「フロントベンチャー」と呼ばれる与党議員と「バックベンチャー」と呼ばれる野党議員が法案の逐条について討論を行う。
- 我が国においては、憲法の規定によれば、衆議院で可決された法律案が参議院で否決されても、衆議院で総議員の3分の2以上の賛成で再可決された場合には法律となる。また、憲法の規定上、内閣総理大臣の指名について両議院の議決が異なる場合は、両院協議会を開催し、そこで意見が一致するまで審議を行うこととされている。
- アメリカでは、政府の積極的役割を重視する共和党と、それと比べて「小さな政府」の実現を目指す民主党の二大政党制となっており、一部の選挙を除き小選挙区制が採用されていることなどから、その中間に位置する第三党が台頭することが難しく、1900年以降、第三党の候補者が大統領に就任したのは3例にとどまる。
- イギリスの二大政党である保守党はホイッグ党、労働党はトーリー党を起源とする。両党はいずれも、各選挙区の利益代表者を議会に送り込むことを目的とした地方分権的な政治集団として発達してきたことから、各選挙区の支部の自律性が高く、議会での採決の際に党議拘束を掛ける仕組みは存在しない。
- ドイツでは、キリスト教民主同盟・社会同盟と社会民主党の二つの大政党に加えて複数の政党が並立している。2013年以来この二大政党による大連立政権を組んでいたメルケル政権に続き、2021年、社会民主党、同盟90・緑の党、自由民主党の三党連立によるショルツ政権が発足した。
- フランスでは、第五共和政が成立した1958年以来、一貫して社会党が第一党として多数の議席を確保するとともに、大統領を輩出してきたが、黄色いベスト運動を契機に、2017年には移民の排斥や反EUを理念に掲げる極右政党である国民戦線が躍進して第一党となり、その党首が大統領に就任した。
- 日本では、自由党と民主社会党が合同して自由民主党が成立した1955年以来、同党が政権与党を担い続けた。しかし、1993年に政治改革の問題をめぐって同党からの離脱者が相次ぎ、同年の衆議院選挙では単独過半数を割り込んだため、自由民主党、日本社会党、新党さきがけの三党の連立による細川護煕内閣が成立した。

国家一般職の政治学の出題分析【過去13年】
この記事では、政治学の出題を22の分野に分け、それを8つのテーマにまとめて数えています。
13年間の65問を8つのテーマで数えると、1位は「政治過程論」の18問、2位は「政治制度論」の12問です。この2つで30問、全体の46.2%を占めます。
3位の「政治的イデオロギー」11問まで合わせると41問で、全体の6割を超えます。一方で「現代政治の諸問題・その他」は、13年で1問も出ていません。
政治過程論
政治過程論(13年で18問)の出題ポイントは、次の3つです。
- 選挙・政党・圧力団体・マス・メディアを扱うテーマです
- 分野では政党が7問で最も多く、選挙制度と圧力団体(利益集団)が4問ずつです
- 政党の機能と組織(2020年度・2026年度)や、サルトーリの政党制の分類(2018年度)が出ています
政党の類型は、幹部政党(地域の有力者が中心)、大衆政党(多くの一般党員が支える)、包括政党(特定の層に絞らず広く支持を集める)の3つを押さえます。
圧力団体では、トルーマン(2022年度)やベントレー(2025年度)が選択肢に出ています。マス・メディアでは、ラザースフェルドらの研究が2016年度と2020年度に出ています。
政治制度論
政治制度論(13年で12問)の出題ポイントは、次の3つです。
- 議会や、大統領制・議院内閣制といった執政制度を扱うテーマです
- 分野ではその他の政治制度が7問、大統領制が4問、議院内閣制が1問です
- 議会の問題が中心で、ポルスビーの議会の2つの型(2019年度・2024年度)が出ています
ポルスビーは議会を2つの型に分けました。社会の要求を法律に変える「変換型議会」(典型は米国)と、与野党が論戦する「アリーナ型議会」(典型は英国)です。
2026年度には新制度論、2021年度にはリンスによる大統領制と議院内閣制の比較も出ています。
制度の問題は、国ごとの違いを表にすると整理しやすくなります。
政治的イデオロギー
政治的イデオロギー(13年で11問)の出題ポイントは、次の3つです。
- 民主主義や政治体制の考え方を扱うテーマです
- 分野では民主主義が6問、その他のイデオロギー・政治体制が4問、自由主義が1問です
- シュンペーターのエリート民主主義論、ダールの「ポリアーキー」、トクヴィルの「多数者の専制」が問われています
ポリアーキーとは、選挙に参加できる人の広さ(包括性)と、政府を批判して競い合える自由(自由化)がどちらも高い体制のことです。
2017年度と2020年度には、市民の政治参加をめぐる考え方も出ています。ペイトマンの参加民主主義や、フィシュキンの討論型世論調査です。

国家一般職の政治学の年度別の出題数
直近6年では、政治過程論は2021年度を除く5年で出ています。13年で見ても、出なかったのは2021年度と2019年度だけです。
政治的イデオロギーも、2016年度から2026年度までのうち2025年度を除く10年で出ています。この2つは毎年出るものとして準備しておきましょう。
また、直近6年(2021年度〜2026年度)は毎年5問とも別々の分野から出ています。政党は2024年度から3年続けて出ていて、同じ分野が続けて出ることもあるので、直近の年度に出た分野も外さずに準備しておきましょう。
国家一般職の政治学の分野別の出題数
| テーマ | 分野 | 13年合計 | 2026 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 政治学の基礎概念 | 政治権力・リーダーシップ | 4 | - | 1 | - | - | 1 | 1 | - | - | 1 | - | - | - | - |
| 国家論 | 3 | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | 1 | - | 1 | - | |
| 政治制度論 | 議院内閣制 | 1 | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 大統領制 | 4 | 1 | 1 | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | 1 | - | |
| その他の政治制度 | 7 | 1 | - | 1 | - | - | 1 | 1 | 1 | - | - | 1 | - | 1 | |
| 政治過程論 | 選挙制度 | 4 | - | - | - | 1 | - | - | - | - | - | 1 | 1 | 1 | - |
| 政党 | 7 | 1 | 1 | 1 | - | - | - | 1 | - | 1 | - | - | - | 2 | |
| 圧力団体(利益集団) | 4 | - | 1 | - | - | 1 | - | 1 | - | - | - | 1 | - | - | |
| マス・メディア | 3 | - | - | 1 | - | - | - | 1 | - | - | - | 1 | - | - | |
| 政治行動論 | 投票行動 | 3 | 1 | - | - | - | - | 1 | - | - | 1 | - | - | - | - |
| 政治意識 | 2 | - | - | - | - | - | - | - | 1 | - | - | - | - | 1 | |
| 政治文化 | 1 | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| 政治的イデオロギー | 自由主義 | 1 | - | - | 1 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 民主主義 | 6 | 1 | - | - | - | 1 | - | 1 | - | - | 2 | 1 | - | - | |
| その他のイデオロギー・政治体制 | 4 | - | - | - | 1 | - | 1 | - | 1 | 1 | - | - | - | - | |
| 政治思想 | 古代・中世の政治思想 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 近代の政治思想 | 2 | - | - | - | 1 | 1 | - | - | - | - | - | - | - | - | |
| 現代の政治思想 | 3 | - | - | - | - | - | - | - | 1 | 1 | - | - | - | 1 | |
| 日本の政治思想 | 2 | - | 1 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 1 | - | |
| 日本政治史 | 日本政治史 | 4 | - | - | - | - | 1 | - | - | 1 | - | 1 | - | 1 | - |
| 現代政治の諸問題・その他 | 現代政治の諸問題 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| その他 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
22分野のうち19分野から出題があり、最も多いのはその他の政治制度と政党の7問です。
表は横にスクロールすると、2014年度までさかのぼって見られます。
国家一般職の政治学の勉強方法・対策の優先順位
65問中30問を占める2つのテーマから、まず政治過程論と政治制度論を仕上げるのが効率的です。
続けて政治的イデオロギー、政治学の基礎概念・政治思想(各7問)まで仕上げると、65問中55問をカバーできます。
- ステップ1 政治過程論・政治制度論から、学者の名前と学説を組み合わせて覚えます
- ステップ2 議院内閣制や大統領制などの制度は、国ごとの違いを表にして整理します
- ステップ3 国家一般職の過去問を解き、問われ方のクセに慣れます

国家一般職の政治学のおすすめ教材
最後に、政治学の対策に使える公務員のライトの教材を2つ紹介します。

公務員のライトの政治学講座

2週間で完成!速習「政治学」講座の特徴
政治学を2週間で完成させることを目指した速習講座です。全14回+ガイダンス1回で、国家・政治体制、各国の政治制度、日本の政治制度・議会、マス・メディア、イデオロギー、投票行動・政治参加、西洋/日本の政治思想、日本の政治史までを一気に押さえます。
「直前期に短期間で仕上げたい」「範囲が広くて手が回らない」という方に最適な講座です。
公務員のライトの政治学の単科講座では、頻出の学者と学説を整理しながら、過去問の解き方まで一気に仕上げられます。
過去問アプリ
公務員のライトのアプリでは、専門試験の厳選過去問を解説付きで解けます。無料で使えるので、スキマ時間に問われ方に慣れるのに向いています。
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まとめ
- 国家一般職の政治学は、専門試験の16科目から8科目を選ぶ選択科目の1つで、毎年5問(No.1〜No.5)出ます
- 過去13年(2014年度〜2026年度)の65問では、政治過程論が18問で最も多く、上位2つで30問を占めます
- 学者と学説・国と制度の組み合わせで問われ、5問とも別々の分野から出る年がほとんどです
- 対策は政治過程論と政治制度論から始め、人物と学説→制度の比較→過去問の順で仕上げます
政治学は出題される分野の幅が広い科目です。出題数の多いテーマから順に、着実に積み上げていきましょう。


2週間で完成!速習「政治学」講座の特徴
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※ 画像「国家一般職の政治学の出題数」の民法Ⅰは民法(総則及び物権)、民法Ⅱは民法(債権、親族及び相続)です。
※ 画像「国家一般職の頻出テーマ」「国家一般職の年度別の出題数」と分野別の表は、2014年度〜2026年度の問題を、公務員のライトの22分野・8テーマで数えたものです。1問が複数の分野にまたがるときは、触れている選択肢が多いほうの分野に数えています。
※ 2026年度は問題冊子が社内の過去問データベースにまだ無いため、公務員のライトが本試験の問題と予備校の公開講評で確かめて分類しています。
※ 例題は2025年度 国家一般職 行政 No.2と、2024年度 同 No.2・No.3です。正答は人事院が公表した試験問題の正答番号表によります。
※ 出典:画像「国家一般職の政治学の出題数」は人事院「2026年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)受験案内」と2024年度の問題冊子の表紙(科目と問題番号)/出題の集計は人事院の本試験問題(2014年度〜2025年度)・2026年度は公務員のライト調べ/分野の分類は公務員のライトの独自基準














