こんにちは。公務員のライト専任講師のましゅーです。
2026年10月16日に、東京都人事委員会から都庁の職員の給与勧告が発表されました。
そこでこの記事では、大卒の初任給が地域手当込みで月30万円を超える改定の中身と過去5年の推移を、原文をもとに解説していきます。
この記事を書いた人

公務員のライト専任講師
ましゅー先生(望月真修)
東京都人事委員会勧告の基礎知識

東京都人事委員会勧告とは、都庁の職員の給与を民間の水準に合わせるよう、東京都人事委員会が都議会と都知事に求める申し入れのことです。
例年10月ごろに公表され、都庁を目指す方にとっては採用後の給与を左右する大切な発表です。

東京都人事委員会の役割
東京都人事委員会は、地方公務員法にもとづいて東京都に置かれた人事行政の専門機関です。
都の職員の採用試験・選考の実施や、給与・勤務時間などの勤務条件についての勧告を行います。
勧告から給与に反映されるまでの流れ
- 東京都人事委員会が、都内の民間事業所(2026年は685事業所)の給与を調べ、職員の給与と比べる
- 差をもとに、都議会と都知事に勧告を行う(2026年は10月16日)
- 給与の条例を改正する議案が出され、都議会で議決される
- 改正された条例の内容で、実際の給与に反映される
勧告はあくまで申し入れのため、そのまま自動的に給与が変わるわけではありません。条例が改正されて、はじめて実際の給与に反映されます。
国・特別区の勧告との違い
| 項目 | 国(人事院) | 特別区 | 東京都(都庁) |
|---|---|---|---|
| 対象 | 国家公務員 | 東京23区の職員 | 都庁の職員 |
| 勧告先 | 国会と内閣 | 23区の各区議会と区長 | 都議会と都知事 |
| 2026年の発表日 | 8月7日 | 10月13日 | 10月16日 |
| 2026年の較差 | 15,056円(3.51%) | 15,126円(3.72%) | 14,209円(3.30%) |
| 大卒の給料月額(勧告後) | 一般職 241,500円 総合職 251,500円 | 241,500円(Ⅰ類) | 251,500円(Ⅰ類B) |
| ボーナス(年間) | 4.70月分 | 5.00月分 | 5.00月分 |
都庁のⅠ類Bの初任給は国の総合職と同じ額で、特別区のⅠ類より10,000円高い内容です。ボーナスの年間支給月数は特別区と同じ5.00月分です。
2026年勧告の全体像
| 項目 | 2026年の勧告内容 |
|---|---|
| 公民較差 | 職員の給与が民間を14,209円(3.30%)下回る |
| 月例給 | 給料表を平均3.5%引き上げ、5年連続の引上げ改定 |
| 初任給 | 全区分で引上げ(Ⅰ類B・Ⅱ類・Ⅲ類は9,500円) |
| ボーナス | 年4.90月分から5.00月分へ、0.10月分の引上げ |
| 月例給の実施 | 2026年4月1日にさかのぼって実施 |
| ボーナスの実施 | 2026年12月支給分から |
2026年の勧告は、月例給とボーナスがそろって引上げとなりました。月例給(都の資料では「例月給」)とは、毎月支給される給料と手当のことです。
給料表(職務の級と経験に応じた給料の額を定めた表です)の引上げは、職級ごとにメリハリをつけた内容です。

報告・勧告・意見の違い
東京都人事委員会の発表は、給与についての報告と勧告に、人事制度と勤務環境についての報告(意見)を加えた形でまとめられています。
給与の数字は「勧告」、採用や働き方の取組は「意見」として示されています。
給与の改定内容

2026年の勧告どおりに改定されると、Ⅰ類B(大学卒程度)の初任給は地域手当を含めて月額301,800円になります。
2026年4月時点の290,400円から11,400円上がり、地域手当を含めた月額が30万円を超えます。

給与の用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 月例給 | 毎月支給される給料と手当 |
| 給料表 | 職務の級と経験に応じた給料の額を定めた表 |
| 公民較差 | 民間の給与と職員の給与の差 |
| 地域手当 | 賃金の高い地域で上乗せされる手当 |
| 期末手当 | ボーナスのうち、在職期間に応じた部分 |
| 勤勉手当 | ボーナスのうち、勤務成績に応じた部分 |
初めて見る言葉は、この表で確かめながら読み進めてください。
公民較差と月例給の改定
2026年4月時点の平均給与月額は、民間と比べる対象の職員(平均年齢40.9歳)が431,169円、民間が445,378円です。
職員の給与が民間を14,209円(3.30%)下回りました。
この差を解消するため、給料表を職級ごとにメリハリをつけたうえで、すべての級・号給で引き上げます。月例給の引上げ改定は、2022年から5年連続です。
初任給の引上げ額
| 区分 | 現行の給料月額 | 改定後の給料月額 | 引上げ額 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ類B(大学卒程度) | 242,000円 | 251,500円 | 9,500円 |
| Ⅱ類(短大卒程度) | 213,800円 | 223,300円 | 9,500円 |
| Ⅲ類(高校卒程度) | 200,300円 | 209,800円 | 9,500円 |
| 警察官・消防吏員(Ⅰ類・大学卒程度) | 268,300円 | 278,800円 | 10,500円 |
Ⅰ類Bの初任給は9,500円上がり、国の総合職試験(大卒程度)と同じ251,500円になります。
地域手当を含めた初任給
| 区分 | 現行(地域手当を含む) | 改定後(地域手当を含む) |
|---|---|---|
| Ⅰ類B(大学卒程度) | 290,400円 | 301,800円 |
| Ⅱ類(短大卒程度) | 256,560円 | 267,960円 |
| Ⅲ類(高校卒程度) | 240,360円 | 251,760円 |
都の採用案内では、給料月額に20%の地域手当(民間の賃金水準が高い地域で働く職員に上乗せされる手当です)を加えて初任給を示しています。そのため、地域手当を含めた月額はⅠ類Bで301,800円になります。
ボーナスの支給月数
| 区分 | 現行 | 改定後 |
|---|---|---|
| 期末手当・勤勉手当の合計 | 年4.90月分 | 年5.00月分 |
| うち期末手当 | — | 0.05月分の引上げ |
| うち勤勉手当 | — | 0.05月分の引上げ |
民間のボーナスが年5.00月分だったことを踏まえ、職員のボーナスを年5.00月分に引き上げます。
ボーナスは、期末手当(在職期間に応じて支給される部分です)と勤勉手当(勤務成績に応じて支給される部分です)に分かれます。引上げ分は、両方に0.05月分ずつ配分されます。
管理職・中堅層の改定
管理職は、給料表全体の平均改定率(3.5%)以上の引上げとなります。
業務で重要な役割を担う中堅層の職員も、昇任への意欲を高める観点から、一定の号給まで平均改定率を超えて引き上げられます。

過去5年の推移

2022年から2026年まで、都の勧告は5年続けて月例給とボーナスの両方を引き上げています。2026年の勧告どおりに改定されると、Ⅰ類Bの初任給はこの5年で67,800円上がります。
年ごとの改定内容
| 年 | 公民較差 | Ⅰ類Bの初任給(給料月額) | ボーナス(年間) | 実施 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 14,209円(3.30%) | 251,500円(+9,500円) | 5.00月分(+0.10) | 条例の改正前 |
| 2025年 | 13,580円(3.24%) | 242,000円(+16,500円) | 4.90月分(+0.05) | 勧告どおり |
| 2024年 | 10,595円(2.59%) | 225,500円(+29,300円) | 4.85月分(+0.20) | 勧告どおり |
| 2023年 | 3,569円(0.88%) | 196,200円(+8,300円) | 4.65月分(+0.10) | 勧告どおり |
| 2022年 | 828円(0.20%) | 187,900円(+4,200円) | 4.55月分(+0.10) | 勧告どおり |
公民較差は2022年の828円から、2026年は14,209円まで広がっています。
2022年〜2025年の勧告は、いずれも勧告どおりに実施されました。
5年前との比較
2022年の勧告前、Ⅰ類Bの初任給は183,700円でした。勧告どおりの251,500円と比べると、67,800円・約37%の引上げになります。
ボーナスも、勧告どおりなら年4.45月分から5.00月分へ0.55月分増えます。

年収モデル
| 試験区分 | 採用されるまでの民間経験 | 初任給(4月現在) | 年収(勧告前) |
|---|---|---|---|
| Ⅰ類B(大学卒) | なし(23歳) | 290,400円 | 約491万円 |
| Ⅰ類B(大学卒) | 3年(26歳) | 306,240円 | 約518万円 |
| Ⅰ類B(大学卒) | 6年(29歳) | 320,160円 | 約541万円 |
| 経験者(主事) | 7年(30歳) | 324,720円 | 約549万円 |
| キャリア活用(課長代理) | 22年(45歳) | 477,840円 | 約822万円 |
大学を卒業してすぐにⅠ類Bで採用された場合、都のモデル給与では年収が約491万円です。
これは2026年4月1日現在の額です。2026年の勧告どおりに改定されると、初任給とボーナスが上がる分、さらに増える見込みです。

採用試験と人材確保への意見

東京都人事委員会は、Ⅰ類B採用試験で受験者数が増える明るい兆しが出ていると報告しています。理由として挙げているのは、テストセンター方式の活用や試験時期の早期化などの見直しです。
今後は、取組の効果を経年で評価・分析して検証し、必要に応じて各採用区分も見直すとしています。
第1次試験の受験者数
| 年度 | 一般方式 | 新方式 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2026年度 | 2,237人 | 2,160人 | 4,397人 |
| 2025年度 | 2,228人 | 2,028人 | 4,256人 |
| 2024年度 | 2,111人 | 552人 | 2,663人 |
東京都は、新方式(第1回)の第1次試験をテストセンター方式で行っています。テストセンター方式とは、全国の会場またはオンラインから試験日を選んで受ける方式のことです。
テストセンター方式への変更などにより、2025年度の新方式の受験者は2,028人と、前年の552人から大きく増えました。

技術系職員と高校生の採用
人材確保が特に深刻な技術系の職員については、受験しやすい制度への見直しやPRの充実に取り組んでいます。
高校を新しく卒業する方についても、志望者の確保につながる採用の仕組みを検討するとしています。
「選ばれる都庁」に向けた取組
都は「選ばれる都庁」を目指し、仕事のやりがいや成長できる環境、職場の雰囲気などをイベントやSNSで発信していく方針です。
あわせて、職員が主体的に学び、専門性を伸ばせる環境づくりも挙げています。民間企業で培った経験が昇任などで十分に反映される仕組みも、検討するとしています。
働き方と勤務環境への意見
東京都人事委員会は、職員が安心して働き、力を発揮できる職場づくりについても意見を出しています。

柔軟な働き方と両立支援
職員が希望する期間、安心して柔軟な働き方を選べるよう、制度の周知と利用の促進を求めています。
介護の支援制度を定着させて、介護を理由とする離職を防ぐことも必要だとしています。
超過勤務の縮減とハラスメント対策
超過勤務(いわゆる残業)は、業務の進め方の徹底した見直しなどで生産性を高め、着実に減らしていくことを求めています。
カスタマー・ハラスメント(利用者からの著しい迷惑行為です)についても、対応マニュアルの活用など、職場への支援を進めるよう期待しています。
女性の活躍推進
都は、2035年に女性管理職の割合30%を達成する目標を掲げています。長時間労働の是正や柔軟な働き方の促進など、働く環境の整備が重要だとしています。
これから都庁を受験する方の対策方法

2026年東京都人事委員会勧告のまとめ
- 2026年10月16日、東京都人事委員会が都議会と都知事に給与の勧告を行った
- 公民較差は14,209円(3.30%)で、月例給とボーナスの引上げは5年連続となる
- 勧告どおりに改定されれば、Ⅰ類Bの初任給は9,500円上がって251,500円、地域手当を含めると301,800円になる
- 勧告どおりに改定されれば、ボーナスは年4.90月分から5.00月分へ、0.10月分引き上げられる
- 勧告どおりなら、Ⅰ類Bの初任給は2022年の勧告前と比べて67,800円・約37%上がる
- テストセンター方式の活用などの見直しで、Ⅰ類B採用試験の受験者が増えている
2026年の勧告は、初任給が地域手当込みで月30万円を超える内容で、都庁の待遇の追い風が続いています。
採用試験も受けやすい方向に見直されており、都庁を目指す皆さんにとっては動きの多い1年です。



どんな些細なことでも構いませんので、公務員試験や講座のことで、気になることがあれば、お気軽にご相談ください!
※ 表「国・特別区の勧告との違い」:人事院勧告は「官民較差」、特別区・東京都の勧告は「公民較差」と呼びます。初任給は、国は俸給月額、特別区・東京都は給料月額で、いずれも地域手当を含まない勧告どおりに改定された場合の額です。
※ 表「初任給の引上げ額」:地域手当などの手当を含まない給料月額です。改定後は、勧告どおりに条例が改正された場合の額です。
※ 表「地域手当を含めた初任給」:現行は東京都職員採用のモデル給与(2026年4月1日現在)の額です。改定後は、勧告どおりの給料月額に地域手当(20%)を加えて計算した額です。
※ 表「ボーナスの支給月数」:改定後は、勧告どおりに条例が改正された場合の月数です。
※ 表「年ごとの改定内容」:各年の東京都人事委員会の勧告内容です。初任給は行政職給料表(一)のⅠ類Bで、地域手当を含みません。2025年から、比べる民間企業の規模が「50人以上」から「100人以上」に変わっています。
※ 表「年収モデル」:東京都職員採用のモデル給与(2026年4月1日現在・勧告前の額)です。年齢は年度末の年齢です。年収は給料・地域手当(20%)・期末手当・勤勉手当を含み、通勤手当・扶養手当などは含みません。都は「本記載の給料・年収を保証するものではありません。」としています。モデルの年収は年間の支給月数を満額で計算した額で、採用1年目は6月のボーナスが少なくなるため、実際はこれより少なくなります。
※ 表「第1次試験の受験者数」:Ⅰ類B採用試験の第1次試験の受験者数です。新方式は第1回の数で、2026年度の第2回は含みません。
※ 2026年の数字(勧告後の額・月数)は勧告の内容で、都議会で条例が改正された後に確定します。
※ 出典:東京都人事委員会「人事委員会勧告等の概要」「職員の給与に関する報告と勧告」「〔参考〕初任給の例」(2026年10月16日)/同「人事委員会勧告等の概要」(2025年10月17日・2024年10月18日・2023年10月13日・2022年10月12日)/同「これまでの給与勧告の内容と実施状況等」/東京都職員採用「モデル給与 行㈠給料表適用職種」(2026年4月1日現在)/東京都「Ⅰ類A・Ⅰ類B採用試験の実施状況」(2026年7月10日・2025年7月11日)/特別区人事委員会「特別区職員の給与等に関する報告及び勧告について」(2026年10月13日)/人事院「給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」(2026年8月7日)/地方公務員法(昭和25年法律第261号)
画像の出典:「都庁の給与が決まる流れ」「都庁の初任給」は東京都人事委員会「人事委員会勧告等の概要」(2026年10月16日)と東京都職員採用「モデル給与」(2026年4月1日現在)/「都庁の初任給の推移」は東京都人事委員会の2022年〜2026年の各年の勧告/「都庁の受験者数の推移」は東京都「Ⅰ類A・Ⅰ類B採用試験の実施状況」(2025年7月11日・2026年7月10日)と東京都人事委員会「職員の給与に関する報告と勧告」(2026年10月16日)














